ストーリー機能を巧みに操るベストプラクティス

Flashpop

ソーシャルメディアを「storification(ストーリー化)」させる準備はできていますか? この記事では、成功したアーリーアダプターのベストプラクティスを紹介します。

 

すべてはSnapchatから始まりました。この新興ソーシャルネットワークは、2013年にストーリー機能を発表しました。ストーリー機能とは、ユーザーが撮影した写真と動画を組み合わせて作成した縦型のスライドショーで、24時間で消えるというもの。10代のユーザーはこのフォーマットを好んでいますが、ソーシャルメディアコミュニティにいる他の世代は、ほとんど気に留めていませんでした。…… 少なくとも、当初は。

しかし、その後Facebookがこのストーリー機能をコピーし、2016年はInstagramによって、より多くのオーディエンスがストーリー機能を利用しました。Facebookや、FacebookのメッセージングプラットフォームのWhatsAppとFacebook Messengerは、2017年にストーリー機能を展開しています。

現在、多数の指標が驚くべき結論を示しています。ストーリー機能は静かにソーシャルの世界に浸食しており、ソーシャルメディアでコンテンツをシェアしたり消費したりする方法を根本的に変えているというのです。この事実は、ソーシャルメディアから顧客にアプローチする企業にとって、新たなチャンスを運ぶとともに、いくつかの難題をもたらしています。

ストーリー機能は、注力すべきもうひとつのプラットフォームになるでしょう。しかし、すでに複数のソーシャルチャネルにわたってコンテンツを管理している企業にとっては、歓迎すべきニュースではないかもしれません。デスクトップ時代の名残といえる昔ながらのニュースフィードは、テキストや単一の画像を短い時間で断続的に投稿するのに適していますが、ストーリーは、より時間と手間のかかる動画、写真、グラフィックスでなければならないからです。

しかし、ストーリーフォーマットのパワーと潜在的なROIを無視することは、非常に困難です。最新の調査によると、ストーリー機能はニュースフィードより15倍も速く成長を遂げ、すでに10億人以上のユーザーがこのフォーマットに夢中になっています。事実、Facebookの最高製品責任者であるChris Cox氏は、同社がストーリー機能に賭けていることを明らかにしました。彼は、「ストーリーフォーマットは、友人に物事をシェアする方法として来年中にはフィードを上回るだろう」と話しています。

つまり、ストーリーフォーマットの採用は、企業にとってオプションではなく、必要条件になっているということです。実際、5つの主要ブランドのうち4つがストーリー機能に取り組んでいると推測されています。しかし、ストーリー機能の活用は容易ではありません。

ミレニアル世代とZ世代は、デジタルマーケティングと「コンテンツ」で飽和状態になっています(293,000件のステータスアップデートがFacebookに毎分掲載されています)。彼らはバナー広告をブロックする方法を知っていますし、1マイル先のセールストークでさえも嗅ぎ取ることができるでしょう。ですので、ストーリー機能で彼らにリーチさせたい企業は、製品を売り込むのではなく、彼らを楽しませ、情報を提供し、教育して、真の価値を提供する必要があります。ストーリー機能は、ダイレクトマーケティングやセールスとはまったく異なるため、強引なコールトゥアクションを必要としないブランディングにとって大きなチャンスです。

ここで、ストーリー機能で成功したアーリーアダプターたちを簡単に紹介します。彼らは、次のソーシャルウェーブに乗りたい企業に向けて、重要な原則を明らかにしています。

創造性に投資する

ストーリー機能は、動画、テキスト、画像などを統合したときに、最も効果を発揮します。これらは「思いつき」のように見えるかもしれませんが、ツイートやFacebookの投稿よりも生産価値が高く、技術的な専門知識を必要とします。TechCrunchのJosh Constine氏が言うように、「広告主は、見出し、本文テキスト、リンクとしてではなく、背景、オーバーレイ、閲覧者がクリックしなくても残っていると感じるようなメッセージを再考すべきです」。ナラティブやストーリーテリングといったコンテンツマーケティングの流行語は、できて当たり前のことだったのです。

飲料ブランドのTropicanaは、若年層の認知度向上と販売促進に向けて、より生産価値の高いInstagramストーリーズのポテンシャルを即座に認識しました。とくに成功を収めたキャンペーンは、サングリアのような特別なドリンクにジュースを注ぐ美味しそうな動画の組み合わせ。手書きテキストと矢印はドリンクを作る手順を表し、完璧なレシピを知りたいユーザーは「スワイプアップ」するよう促されます。結果は、広告想起率が18ポイントも上昇し、購入意思を後押ししました。

マルチメディアフォーマットを使用し、製品が実際に使われている様子を打ち出す

従来のパックショット(しっかり密閉されたパッケージングに入った製品の殺風景な画像)は、ストーリー機能の領域だとほとんど居場所がありません。成功しているブランドは、代わりにマルチメディアフォーマットを使用して、製品が顧客の生活にどのように組み込まれているかを示しています。企業は、インフルエンサー(自分に忠実なフォロワーを持つユーザー)の活用で製品ストーリーを作成し、シェアすることによって、リーチの範囲を広げつつ、すでに支持してくれているオーディエンスにアクセスすることができます。

代表例: スキンケア会社のDr. Brandtは、Instagramストーリーズを使用して、フォロワーを2016年末の3万人から8万人以上へと増やしました。彼らのストーリーは、人気の「mattifying hydrator」といった化粧品の画像や動画を、ビフォーアフターのデモや使用方法のチュートリアルと統合しています。購入者は、ストーリーを見ているときにスワイプして製品を購入することもできるのです。Instagramストーリーズにショッピング機能を追加することによって、Dr. Brandtのダイレクトセールスは500%も増加しました。

生産価値と真正性のバランスを取る

少しの編集によって、製品を洗練した形で見せるだけならユーザーは許してくれますが、過度に編集を加えることは、ストーリーから真正性を奪ってしまいます(言うまでもなく、消費されていくコンテンツに時間とお金をかける正当性を主張するのは難しいことです)。このバランスを見つけることは必ずしも簡単ではなく、世界の大手メディアブランドの一部でさえも実験を行わなければなりませんでした。

Guardianは、Instagramのパフォーマンスを追跡した後、興味深い発見をしました。高度にスクリプト化されたストーリーは、期待するほど投資収益率を伸ばさなかったのです。対照的に、素人の「解説」動画のような、自然発生的で洗練されていないストーリーの方が、はるかに優れたパフォーマンスを発揮していました。これらローファイな(高品質ではない)ストーリーには、若いプレゼンターがいて、デジタルオーディエンスの共感を呼びやすい、よりカジュアルな言語(絵文字など)が使われています。Guardianは、ストーリー機能に精力的に取り組んだ結果、わずか4カ月でInstagramのフォロワーを86万人から100万人へと増やしました。

ユーザーを主役に捉える

効果的なストーリーは、誰かの写真や動画を見るだけではなく、自分の写真や動画を共有して表示させたいというミレニアル世代やZ世代のユーザーの基本的な属性を活かしています。ストーリー機能で成功したブランドは、ファンから高品質のユーザー生成コンテンツを引き出す方法を見つけているのです。そして、そのコンテンツを活動の中に取り込むことで生産性を向上させると同時に、ユーザーの「ソーシャルキャピタル」に資金を投入して信頼性を高めています。

コワーキング会社のWeWorkは、コミュニティという考えをもとにブランドを構築しており、Instagramストーリーのコンテンツでは彼らの「舞台裏」を伝えています。ロンドンで本の発売を祝うもの、メキシコシティでLGBTプライド月間を讃えるものなど、彼らのストーリーは、ワークスペースを利用している顧客の実体験を取り上げているため、現実的で飾らない印象を与えます。また、WeWorkではメンバーがストーリーの制作を担当して、日々のオフィス風景を紹介することもあります。ストーリー機能は24時間で消えてしまうため、会社の様子をちらっと見せるようなコンテンツも提供することができますし、「ハイライト」機能を使えば、優れたストーリーをいつまでも表示することができます。

フォーマットは進化し続けていますが、ストーリー機能はまだまだ健在です。ユーザーがストーリーを「ハイライト」して好きなだけ保持ができる機能は、フォーマットがより中心的かつ永続的な形で進化することをほのめかしています。さらに、より洗練されたステッカーや顔のフィルターから、ユーザーが独自でインタラクティブないたずら書きを作成できる高度なAR機能に至るまで、汎用性が高いイノベーションが次々と導入されています。現在明らかになっているのは、デジタルネイティブのニューウェーブによって、ストーリー機能がソーシャルメディアとほぼ同義語になっていることから、Facebookの画期的イノベーションだったニュースフィードは大きく後退するかもしれないということです。

 

Ryan Holmes氏は、1,000万人以上のユーザーを持つソーシャルメディア管理システムHootsuiteのCEOです。彼は、大学を中退してペイントボール会社とピザレストランを経営し、Hootsuiteの前身であるInvoke Mediaを設立しました(2009年にHootsuiteに改称)。

現在、Holmes氏はニューヨークタイムズやウォールストリートジャーナルで引用されるソーシャルビジネス革命の権威であり、TEDxやSXSWインタラクティブカンファレンスで講演を行っています。エンジェル投資家兼アドバイザーでもある彼は、カナダや世界のスタートアップを指導しています。

 

この記事はCo. ExistのRyan Holmesが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。

 

元記事「4 Tips on How to Succeed with Stories」は2018年10月25日にInsights.newscred.comに掲載されました。

 

また、日本におけるNewsCredパブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。

SOLUTION

amana Content Marketing

amana Content Marketing

コンテンツマーケティングの本場であるアメリカで、業界を牽引するリーディングカンパニーであるIndustry Dive。国内唯一の独占パートナーであるアマナがその集合知を活用し、成果へと繋がるコンテンツマーケティングをサポートします。
企業が抱える課題に沿って、戦略策定からチーム構築、コンテンツ制作、効果測定まで、コンテンツマーケティングの運用をトータルで支援します。

KEYWORD キーワード

KEYWORDキーワード

本サイトではユーザーの利便性向上のためCookieを使用してサービスを提供しています。詳しくはCookieポリシーをご覧ください。

閉じる