最新版: スポーツマーケティング5つのトレンド

vm

かつて、スポンサー契約はスポーツマーケターを満足させるのに十分なものでした。しかしながら、広告の飽和化と新たなチャネルの急増で、ブランドやクラブはファンとより深い関係を構築できる新たな機会を得ています。

女子リーグからARやeスポーツまで、スポーツマーケティングのプレイブックは多くの新しい分野へと発展しています。この記事では、The Drumが考える2019年のスポーツマーケティングにおける最大のトレンドを一部ご紹介します。

 

スポーツに携わる女性

Nielsen Sportsのレポートによると、一般的なスポーツファンの84%が、「お金で動く」と見なされている男性版よりも、女性によるスポーツのほうが「刺激的」で「進歩的」であると回答していました。この数値は、女性のスポーツに対する国民の受容性と、スポーツマーケターが探求すべき機会を明示するものです。Octagonのグローバルサッカー責任者であるPhil Carling氏は、広告主に対して移り変わりの最中にある女子サッカーの重要性に触れています。「消費者はブランドが何かを支持し、平等、多様性、包括性があらゆるコーズ(大義)リストの上位にランク付けされることを望んでいます。ここに照らし合わせると、女子サッカーは非常に感情的な施策を追加しやすく、男子サッカーよりも有利であることがわかります」。

ブランドはすでにこの状況に着目しています。Nikeは、年初に女子スポーツを「Dream Crazier」キャンペーンの中心に据えました。テニス界の伝説的存在であるSerena Williamsが主演し、ナレーションが添えられたこの広告は、スポーツに携わる女性が性別による偏見や不公平なステレオタイプに立ち向かうことを提唱するものです。そのメッセージは、全仏オープンで着用されたNikeのキャットスーツに対する批判や、全米オープン決勝により激しい争点を巻き起こした敗北など、2018年を通してWilliamsを苦しめた論議にも反響を及ぼしました。バイラルのヒットにより、女性による競技の平準化に関した論議が促進される結果となりました。

女子スポーツをサポートする道徳的な理由とは関係なく、ブランドが女性消費者市場を押し出すことは商業的にも理にかなっています。現在の英国では、女性は個人資産の半分を所有していると推定されており、その数値は成長を続け、購買決定の最大80%に影響を及ぼすと言われています。このことは、スポーツが女性を訴求するマーケティングの可能性を拡げ、経済的な見返りを得る大きな機会を与えることを示唆しています。

この人気の急上昇は、女子サッカーでもっとも顕著に見られます。2019年の年初、Barclays BankBudweiser、およびBootsコスメティクス、英国女子サッカーチームとリーグ間で締結された大規模な企業スポンサー契約について報道されたからです。Walgreensが所有するBootsは、スコットランド、イングランド、北アイルランド、ウェールズ、アイルランド共和国をサポートするために初めてスポーツ界に参入しました。Boots UKのマーケティングディレクターであるHelen Normoyleは次のように述べています。

「これは世界的なトレンドです。The Drumは、オーストラリア女子サッカーリーグの広告主とスポンサーへの関心が今年初めから高まっていると報告しました。オーストラリアの人口の半数以上が女性のスポーツを定期的に視聴しており、前年と比べて48%も増加しています。

 

ARとVR

現在は仮想現実と拡張現実技術の初期段階ですが、SnapchatやInstagramなど、既存のプラットフォームを利用し、チームやブランドがスタジアムの内外でグローバルなオーディエンスに向けの夢中になれる体験を生み出している事例があります。

2017年、FC Bayern Munichはファン向けに楽しいインターフェイスを創設し、Manuel NeuerやArjen Robbenのようなチームのスタープレイヤーと一緒にセルフィーが撮れる仮想体験を提供しました。ファンは同チームのアプリを介してこの機能を利用でき、クラブのオンラインストアではストリップをカスタマイズすることも可能。この没入体験がクラブの収益を押し上げたと報告されています。

Major League Baseballは、「At Bat」アプリにARを導入しており、ファンが球場で自分の携帯電話を向けると、エラー数、守備率、ホームラン統計を含む各プレーヤーに関するデータが表示されます。プレイヤーがボールを打つと、画面にその軌跡が表示され、出口速度、発射角、頂点、距離といった情報が表示されます。MLBのモバイル製品開発担当上級副社長であるChad Evansは、このアプリの目的は、球場で観戦するゲームを体験として向上させることだと述べています。同氏は、「ARはファンに新たな体験をもたらし、野球はその最先端を行くことになるでしょう」と付け加えました。「この技術はまだまだ多く可能性を秘めています」。

広告主と放送事業者にとってもメリットがあります。サッカーのテレビ視聴者の体験をパーソナライズする技術がすでに試用されているからです。とくに注目すべきは、2018年にFAとITVがテストランとして開催したイングランド対コスタリカ親善試合です。バーチャルリプレースメントテクノロジーを使用し、ピッチに沿った動的な広告がストリーミングされ、各々の視聴者が異なる広告を目にすることができるようにしました。広告提供はアメリカ向けとアジア、オーストラリア、ヨーロッパの一部向けの2つのフィールドに分割されました。

 

ソーシャルチャネル

スポーツチームとアスリートがファンベースを構築し、ブランドの機会を活用するには、ソーシャルチャネル重要性を認識することが重要です。

InstagramやTwitterなどのソーシャルチャネルは、ファンコミュニティの育成と維持を可能にします。この広告スペースでは、アスリートをより身近に感じるコンテンツを提供し、24時間絶え間なくスポーツへのアクセスを促します。Instagramストーリーとライブストリームにより、アスリートとチームはトレーニングセッションに関する舞台裏をフォロワーに提供したり、Q&Aを企画してファンがより身近に感じられる機会を提供したりすることができます。大抵の場合、このようなセッションはブランドがスポンサーをしているものです。

The North Faceは、アスリートとのソーシャルスポンサーシップが彼らの仕事を支援しながら自社製品のプロモーションを促進させることを示す好例です。オスカー賞を受賞した「Free Solo」というドキュメンタリーのリリース前に、The North Faceのインスタグラムページ上では、この映画とエクストリームなロッククライマーであるAlex Honnoldを宣伝するストーリーとコンテンツが掲載されました。このストーリーは、視聴者に映画の鑑賞場所とアスリートに関するインサイダー情報についてインサイトを得られるよう企画されたものです。 The North Faceのソーシャルコンテンツのほとんどがアウトドアアスリートのサポートを目的として制作されており、ソーシャルコンテンツはエキスパートの経験をブランドキャンペーンの核心に据えています。

このような活動は、スポーツスターとファンの距離を縮め、関連ブランドが活動を支援する機会を生み出します。

また、スポーツチームは、トップタレントのソーシャルアカウントを活用して、ブランドとのエンゲージメントをブーストさせることもできます。FC Barcelonaは7,000万人のフォロワーをインスタグラムで抱えていますが、Lionel Messiの1億1,800万人のフォロワーと比較すると影を潜めてしまいます。しかし、真のインフルエンサーの役割を担う同チームでサッカースターを活用すれば、クラブはチーム全体とチームの仕事を促進させることができるのです。

 

コーズマーケティング

スポーツ業界では、重要な問題への認識を高めるために著名人やパーソナリティが自分たちの権限を使用する、コーズマーケティング(大義や信念にもとづくマーケティング)へ移行する姿が多く見受けられます。2018年には、元Manchester Unitedのスター選手であるRio Ferdinandと友人のJamie Moraleeが、メンタルヘルスチャリティのカーム(Calm:Campaign Against Living Miserably(惨めに生きることに反対するキャンペーン))というチームを結成し、男性のメンタルヘルスに対する有害な態度を払拭しました。サッカー選手達は、典型的なアルファメールバンターを立て、「戦いに勝利するのは誰でしょう」「どの選手が一番お酒に強いですか」といった質問に答え、友情について話を始めます。FerdinandとMoraleeは、自分の気持ちとサポートの必要性を率直に話し合うことで、慈善団体の完璧な大使の役割を果たし、伝統的な男性のステレオタイプを払拭しました。

さらに、Sport Englandによる画期的な2015年キャンペーン「The Girl Can」では、女性のスポーツ参加を奨励するきっかけとなりました。1分半のスポットでは、Missy Elliotの「Get Your Freak On」に合わせたフィットネスルーティンに参加する一般女性が登場します。魅力的でありえないほど引き締まった体型の女性達に焦点を当てるのではなく、これから引き締めたい人のためにスポーツのカルチャーを作り出しました。汗とハードワークといったエクササイズに焦点を当て、それを賞賛しています。このキャンペーンは2015年にCannes Lionsに旋風を巻き起こしました。

同様に、ブランドにとって重要なのは、ターゲットオーディエンスの共感を呼び、没頭させるストーリーを生み出すことです。ブランドのストーリーテリングにおける素晴らしい一例として、2018年ワールドカップで優勝した後のフランス代表チームによる、Nikeの「We won it in France」を挙げましょう。同クラブの広告を発表したNikeは、パリとマルセイユの乾燥したピッチの貧しい背景を引き合いに出すことで、フランスチームと選手の努力を称えました。この広告は、プレイヤーとサポーター、そして彼らの母国へ向けたラブレターです。

eスポーツ

近年、eスポーツが飛躍的な成長を見せており、これはスポーツチームが見逃せない事実です。この構図は、定期的にFifaビデオゲームをプレイしている何百万人ものファンを有するサッカーチームの人気を証明しました。

スペインのサッカーチーム、Real Madridは最近、eスポーツ用アリーナを含む、最新でハイテクなホームスタジアムの新設計画を発表しました。これは、新しいスタジアムが完成したときにTottenham Hotspurがeスポーツトーナメントを開催する計画と似ています。同クラブでは、60,000席の収容能力を踏まえ、サッカー以外のイベント毎に300万ポンド以上の収益が見込めると考えています。

Spursがeスポーツの力に対してクラブの信念を示したのはこれが初めてではありません。同クラブは、2018年の終わりにファンの間で競争を開始した20のプレミアリーグチームの1つであり、勝者には入手困難なビデオゲームイベントであるeプレミアリーグでお気に入りのチームを代表して競うチャンスを提供しました。

Leicester Cityのプレミアリーグ優勝者であるChristian Fuchsは、「NoFuchsGiven」と呼ばれる彼自身のeスポーツベンチャーを持っています。「複数のパートナーと協議中ですが、私の大きな目標の1つ。それがニューヨークでeスポーツのアリーナを構築することだ」とForbesは「SportsPro Live 2019」カンファレンスで語るフックスのコメントを引用しています。「先ほど36エーカーを購入しました。その中には約70の建物があり、1つはホテルに建て替え、ニューヨークで唯一のeスポーツアリーナに直結させる予定です」。

こうした重要な投資から、eスポーツが今後数年間にわたり、主要なトレンドの1つであり続けることがわかるでしょう。

 

この記事は、The DrumのEmma Mulcahyが執筆し、NewsCredのパブリッシャー・ネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。

 

元記事「5 of the Biggest Sports Marketing Trends of 2019 」は2019年7月31日にInsight.newscred.comに掲載されました。

 

また、日本におけるNewsCredパブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。

SOLUTION

amana Content Marketing

amana Content Marketing

コンテンツマーケティングの本場であるアメリカで、業界を牽引するリーディングカンパニーであるIndustry Dive。国内唯一の独占パートナーであるアマナがその集合知を活用し、成果へと繋がるコンテンツマーケティングをサポートします。
企業が抱える課題に沿って、戦略策定からチーム構築、コンテンツ制作、効果測定まで、コンテンツマーケティングの運用をトータルで支援します。

KEYWORDキーワード

本サイトではユーザーの利便性向上のためCookieを使用してサービスを提供しています。詳しくはCookieポリシーをご覧ください。

閉じる