6人の専門家が明らかにする「コロナ後の広告ビジネスにおける真実」

Toshi Sasaki

Fast CompanyShape of Tomorrowシリーズでは、コロナが各業界をどのように転換させているか、ビジネスリーダーの視点を共有しています。新たな世界秩序で失われたもの、そして得られそうなものは次の通りです。

 


Wieden + Kennedyの共同社長兼最高クリエイティブ責任者であるColleen DeCourcyは、Nike、Ford、McDonald’s、KFC、Uberなどの主要クライアントを抱え、世界最大の独立系広告代理店としてクリエイティブをリードしています。

以前、アイロニーの終焉について話し合いましたが、今回はでたらめの終焉ではないかと思っています。[キャンペーンまたは広告は]の効果はどうでしたか。ブランドにとってどのように役立ちましたか。それは人々にどう役立ちましたか。

以前、アイロニーの終焉について話し合いましたが、今回はでたらめの終焉かもしれません。[キャンペーンまたは広告]どのような効果がありましたか。ブランドにとってどのように役立ちましたか。人々にどのように役立ちましたか。

Weiden+Kennedy’のColleen DeCourcy

 

企業全体が消滅しつつあり、人々は気付かないうちに障害物とぶつかりました。[エージェンシー]はビジネス上の問題に対して脆弱です。

クライアントのビジネス上の問題は、ほとんどの場合、広告で解決できる問題ではありません。この事実について、私が楽観的に捉えているのは、長引けば長引くほど人々の心からブランドへの好意が拭い去られることです。特定のブランドの歯磨き粉は、私にとってはただの歯磨き粉です。人々が再び外にで始めるようになれば、ブランドは立場を再証明し、紹介し直し、なぜお気に入りであるべきなのかを再提言するでしょう。私としては、弊社のクライアントはこれまで以上に私たちを必要とするだろうと確信しています…。

[Wieden + Kennedy共同創設者 Dan]Wiedenには有名な格言がたくさんありました。入社時に私が学んだことであり、やっと理解し始めたばかりですが、カオスこそ本当にあなたの成長を望んでいる唯一のものです。私は現在、その言葉を自分に言い聞かせています。

 


Translationの創設者兼CEOであるSteve Stouteは、NFL、Brooklyn Nets、Anheuser-Busch、そしてState Farmなどの主要ブランドやスポーツリーグと提携してきました。このTranslationは、1月にNew York Knicksのリブランディングするために活用されました。StouteとTranslationは、4月のThe Last Danceドキュメンタリーの間にESPN上で配信されたState Farmの巧妙な広告を仕掛けたチームの一員でした。

ブランドは、基本的に「気の毒だと思うならこの製品を購入してください」というような、謙虚な誇大広告を起用してきました。製品が何であっても、その製品への必要性と消費者の感情には溝があります。そのため、このような広告で叩かれたブランドも少なくありません。ただしその結果、「私たちはみなさんのことを理解し、共感しています。何かを売りつけたいのではなく、ただ関わり合いたいだけなのです」と伝えることに成功したブランドもあります。それが私にとってもっとも共鳴を受けた作品です。善意のあるブランドはあなたが必要なものを割引して販売しています。あなたが乗り越えようとしていることに共感を呼ぶ方法で語りかけているのです。

必要なのは核心です。[NBA]シーズンがいつ再開するのかは全くわかりません。[弊社がNBAのために扱っている]作品にいつ着手すればいいのか​​は全くわかりません。予定の目処も立たないまま業務の歩調を合わせるのは難しいことです。マーケターとしては、これらは市場開拓戦略において重要なことです。しかし完全に未知です。

必要なのは核心だけ。[NBA]シーズンがいつ再開するのかは全くわかりません。

Translationの創設者兼CEOであるSteve Stoute 

 

しかし、スポーツが再開すれば地元のチーム、地元のヒーロー、ゲーム自体への感謝の気持ちが高まります。私はその流れを利用するつもりです。パンデミック前のKnicksの記録やチームがどうであっても、再び彼らがコートに登場したらこれまでと変わらずに興奮することでしょう。その高揚感と関わり具合が私のようなマーケターにとっては絶好の機会になります。

 


Goodby Silverstein + Partnersのパートナー兼最高クリエイティブ責任者であるMargaret Johnsonは、受賞歴のあるサンフランシスコを拠点とするエージェンシーでクリエイティブをリードし、Doritos、Pepsi、BMW、Golden State Warriors、HP、Panera Bread、そのほか大手ブランドのための作品を手掛けています。

コロナが広まる前に、Paneraのコーヒー定期購買のコマーシャルを撮影したばかりでした。この大規模なプロジェクトはロサンゼルスで行われ、多くの人々が関与していました。私たちのアプローチは真逆になってはいません。ドライバーがスマートフォンを使って自分たちで撮影し[今後使用するPanera用のスポットのために]、そのテイクをテキストメッセージで送信してもらっています。それから、その作業を別の方法で再送。最初はとても異質に感じますが、すぐに順応しました。とはいえ、この新しい世界を受け入れられていない人たちには、大変なことかもしれません。

国外で撮影するために必要経費を費やすような状況は今では想像もつきませんね。オンラインで簡単にテイクを確認できますから。この状況は、制作のみならず、ビジネス全般にも大きな影響を与えるでしょう。1時間の会議のために5人のスタッフをニューヨークまでビジネスクラスの飛行機で出張させますか?お金の有効活用とは思えませんよね。

 


JOAN Creativeの共同創設者兼最高クリエイティブ責任者であるJaime Robinsonは、Google、Netflix、Pillsbury、Youtube、Fiber One、SafeAutoなど、クライアント向けの作品を制作しています。

私たちはみな、一気に打ちのめされました。誰もが、同じような広告編集を目にしてきましたし、弊社でも手掛けたと言わざるを得ません。「このような困難な時期に…」と思うような、鼻に付く広告も手掛けました 。もう少し面白くて小生意気なものにしたかったのですが、最初の数週間は反響と落胆ばかりでしたね。

今、私たちは峠を越えたところにいます。そして全体的にクリエイティブな楽観主義を感じています。多くの人にとって辛い時期ではありますが、この業界のコンテキストとしては、これは前例のないクリエイティビティの瞬間なのです。弊社のクリエイティブとストラテジストはこれまでに素晴らしいアイデアをもたらしています。

また、Wild West(19世紀の開拓時代の米国西部地方)のような感じでもあります。ゲートキーパーであるすべてのチャンネルが取り除かれ、アメリカの恋人的なショーホストであるEllenに代わってJohn Krasinskiのようなエンターテインメント番組が見受けられるようになりました。彼は6カ月前も同じように活躍できたでしょうか? 恐らくできなかったはずです。彼は創造性を駆使して、魅力的で状況に適した良い番組を制作しています…。

私たちが自問しているのは、今まではできなかったけど今できることは何かです。この状況がどれだけ続くかによって、ハリウッドのパイプラインは空白状態になりますが、ブランドによるエンターテインメントの制作方法を検討する機会にもなるでしょう。弊社のクライアントにもそのアイデアを共有し、彼らも前向きに受け入れています。

ブランドはオーディエンスの役に立ちたいと願っています。それは公益の時もあるし、救済を提供するビジネスイノベーションの場合もあるし、人々を楽しませるエンターテインメントの時もあるでしょう。私たちが提携するどのブランドも最初は打撃を受けていましたが、今では回復に向かっています。

 


TBWA Worldwide(95か国、275の拠点に11,300名の従業員を有する)のCEOであるTroy Ruhanenは、Apple、Adidas、Gatorade、Nissan、Mountain Dewなどを顧客リストを抱えています。

私たちは、今後何が起きるのかが3年越しに観察できるNextと言うプラットフォームを提供しています。以前は、[クライアント]が付加的に追加する程度でしたが、今では必需品になっています。音声またはAIチャットボットに関係のあるもの、たとえば、会話型マーケティングを取り上げてみましょう。企業はこれまで以上に仮想サービスに依存し、会話型マーケティングが急増しています。最近では店舗で導入していたサービスレベルが得られるチャットボットとのやり取りに顧客も慣れてきました。

ここ数年は専用ブランドについて多くの議論が交わされてきましたが、現在では、価値観と言動の需要性が増しています。繋がり合っていても、多くの人々が下品な言葉やマニフェストを提示しているため、どのように振る舞うかが重視されているのです。この状況から派生するいくつかの傾向には、消費者への関心を実証する行動をとってください。その行動が共有されれば、消費者の利益に繋がる方法で行動していると認められるでしょう。

 


Droga5(Accenture Interactiveの一部)の創設者兼会長であるDavid Drogaは、Under Armour、Android、HBO、The New York Times他のブランド向けに革新的な作品を提供する大手クリエイティブショップとして同エージェンシーを設立しました。同エージェンシーは4月に、ロックダウン中にたった6日間でFacebook広告「Never Lost」を制作しました。

弊社は幸運にもモバイル業界に籍を置いています。私たちが制作するものの大部分は思考に関するもので、それは隔離期間中でも対応可能なものです。プレス機、ロボット、研究所を備えた工場はありません。

私たちの仕事は、クライアントがすべての状況に適合する場所を見つけるために手助けをすることです。

Droga5の David Droga

 

私たち、クライアント、消費者は、コロナの中では毎週が1カ月のように感じられたと思います。私たちの仕事は、クライアントが全状況に適合すべきものを把握する手助けをすることです。すべてのブランドが困難な時期を理解する方法を見てきましたが、それはいずれ底をついてしまいます。

マーケティングやコミュニケーションにお金を費やす人は少ないため、私たちの業界はいつでも不況に最初に直面する業界の1つです。ほぼすべてのエージェンシーでレイオフ(従業員の10%、15%)をしていますが、胸が張り裂けそうになります。そのために、誰もが緊張感を抱いていますが、私は楽観的です。私たちの仕事は、クライアントに付加価値、厳密さ、創造的思考、そして問題解決を提供し、その過程で気後れしないようにすることです。一部の人々がパジャマのまま、6歳の子どもが後ろで走り回った状態で作業をしているからといって、優れた思考と品質を生み出す能力が変わるわけではありません。

 


Fast CompanyによるShape of Tomorrowシリーズに関する詳細:

 

 

この記事は、Fast Companyを通じてJeff Beerが執筆し、NewsCredのパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。

 

元記事「Six experts reveal the post-COVID truth about the advertising business」は2020年5月27日にInsights.newscred.comに掲載されました。

 

この記事は、NewsCred BlogのVictoria Goldenが執筆し、NewsCredのパブリッシャー・ネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。

 

また、日本におけるNewsCredパブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。

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