コンテンツマーケティングが大手IT企業のブランディング戦略に不可欠な理由

もし、あなたが世界で最も有名な屈指の巨大テクノロジー企業であり、部門を急速に増やしながら革新的な企業として台頭しているとするなら − あなたはどのようにして自分の会社を顧客に紹介し、ターゲットオーディエンスに親近感を持ってもらいますか?

それこそが、2016年9月にDellが直面した課題でした。

当時、この歴史に名高いテクノロジー企業はEMCと合併し、VMware、Secureworks、Virtustream、Pivo​​tal、RSAといったブランドラインを生み出していました。その後、Dell Technologiesに社名を変え、740億ドル相当の世界最大のテクノロジー企業へと成長したのです。Dell Technologies は、Dellの名を冠していましたが、ハードウェア分野の大手企業ではなく、デジタルトランスフォーメーションのリーダーとして新しいブランドを再定義する必要がありました。

はじめから、コンテンツマーケティングが戦略の主要な要素になることに疑いの余地はありませんでした。「これまでもコンテンツマーケティングを行ってきた経験があったからです」とDell Technologies.com / Perspectivesの編集長であるAnna-Lee Muck氏は言います。「私たちは長年にわたり、いくつかのブランドコンテンツプラットフォームを開設し、そこから学んできました。そのため、会社の紹介やDell Technologiesを構成するブランド、合併がもたらす全機能への認知度を高めるためには、コンテンツが非常に重要であることを理解していたのです」。

この目標を達成するためにMuck氏と彼女のチームが開設したコンテンツマーケティングイニシアチブは、Dell Technologies Perspectivesのコンテンツハブと「Trailblazers(先駆者)」ポッドキャストでした。これらは一流のコンテンツとして知られることになり、Dell Technologiesは数々の称賛を受けました。そしてDell TechnologiesはNewsCredの【2018年版】ベストコンテンツマーケティングブランド50選に選ばれ、PerspectivesはDigidayベストブランドコンテンツサイトのファイナリストに選ばれました。さらに「Trailblazers」はWebby賞にノミネートされ、Digidayベストブランドポッドキャストのコンテンツマーケティング賞のファイナリストにも選出されています。

Dellに長年勤めているMuck氏は、14年以上にわたって、製品や垂直ライン(特定の分野に特化したライン)のマーケティング、コミュニケーション、メッセージングといった役割を担い、ブランドチームにも所属してきました。「ソートリーダーシップ、ストーリーテリング、ライティングは、それぞれの役割の一環でした」と彼女は述べます。「今の編集長という肩書きは、群を抜いて素敵な役割だと思っています」。

この記事では、Muck氏へのインタビューをもとに、Dell Technologiesが大きな企業目標を達成するために、過去1年半にわたりどのようにしてクリエイティブなストーリーテリングを活用してきたかを詳しく紹介します。

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Dell Technologies.com / Perspectivesの編集長、Anna-Lee Muck

ストーリーテリングの力を認める

ストーリーテリングは人々の注目を集める普遍的な手段だと考える人は多いでしょう。Muck氏と彼女のチームは、ターゲットオーディエンスとしている経営幹部レベル(CEO、CMO、CIO、CDO)にもそれが当てはまることを実証しています。Muck氏のチームは、経営幹部がデジタルトランスフォーメーションについて感じることや、情報の消費方法に関するインサイトを収集するために徹底的な調査を行いました。

「一番心強かったのは、オーディエンスが他のコンテンツフォーマットよりも主張型のナラティブに反応するとわかったことです」とMuck氏は話します。「ストーリーは、会話を始める際の突破口になります。そのためには最初から高いレベル(ブランドレベル)のコンテンツマーケティングとストーリーテリングを活用することが重要です」。

オーディエンスがいる場所に彼らが好むコンテンツを届ける

Dell Technologies Perspectivesを開設したとき、Muck氏と彼女のチームは、オーディエンスがいる場所にコンテンツを届けるだけでなく、オーディエンスが世界中のどこにいても(移動中でも旅行中でも)コンテンツを届けるべきことを知っていました。

「こうしてポッドキャストのアイデアが生まれたのです」とMuck氏は語ります。「ポッドキャストは、ストーリーを語り、オーディエンスがいる場所にコンテンツを届けることができる完璧なメディアです」。

Dell Technologiesは、元CNN会長兼CEOでベストセラー作家であるWalter Isaacson氏を「Trailblazers」のホストとして迎えました。そして、教育からデートまで、私たちの生活のあらゆる側面を変えたディスラプティブテクノロジー(従来の技術や業界の価値基準を根底から覆すほど革新的な技術)を詳しく紹介しました。

あなたは#Valentine(恋人)とどうやって知り合いましたか?ぜひコメントしてください。そして、デジタルトランスフォーメーションによって、出会い系がパンチカードからアプリのスワイプに変わったストーリーを聞きましょう。Trailblazersの最新エピソードが到着しました!プロフィール欄のリンクをクリックしてください。#podcast #onlinedating #apps #love #valentinesday

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2018年2月16日午前8時16分(PST)にDell(@dell)がシェアした投稿

Trailblazers」は、Dell Technologiesの新しいブランドキャンペーンとDell Perspectivesの初投稿とともに、2017年3月に開設されました。さらに、チームはForbesやBusiness Insiderといった著名な出版物と一緒にコンテンツプログラムを立ち上げています。

「これは、すでに顧客がいる場所に、デジタルトランスフォーメーション分野のソートリーダーとしての信頼性を高めるコンテンツを届けるという精神の中で生まれました」とMuck氏は言います。

チームは、2017年9月に、最新の(現在の)Dell Technologies Perspectivesを開設しました。

「私たちは真のブランドパブリッシングプラットフォームになりました」とMuck氏は述べます。「ターゲットオーディエンスが重要視しているAI、ロボティクス、VRなど、デジタルトランスフォーメーションの背後にあるテクノロジーのトピックや、変革管理への対応、多様性のある従業員への働きかけ、イノベーションの促進といったオーディエンスが取り組んでいるリーダーシップのトピックに関するストーリーを公開しています」。

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複数のブランド間でコンテンツマーケティングの足並みを揃える

Perspectivesのコンテンツの大半は、Muck氏が「探検レベル」と呼ぶファネル上部にあります。コンテンツプログラムが成熟するにつれて、ブランドパブリッシングチームはそのコンテンツをその先のカスタマージャーニーと上手く結び付けるようになりました。

Dell Technologiesの7つのブランドには、それぞれ独自のコンテンツマーケティングチームが備わっているため、これは決して簡単な作業ではありません。

「当社がテクノロジー企業としての機能をたくさん持っていることや、デジタルトランスフォーメーションの課題を解決できるという点で、各ブランドにコンテンツマーケティングチームがいるというのは素晴らしいことです」とMuck氏は話します。「しかしそれは迷路のように複雑で、さまざまな関係者と一緒に点と点を結ぶことは容易ではありません」。

Muck氏は、各ブランドのステークホルダーと一緒に毎月編集委員会を開催しています。

「参加しているのはコミュニケーションチームやマーケティングチームの人たちです。コンテンツは複数の部門にまたがっているので、関係者であれば誰でも大歓迎です」とMuck氏は語ります。「ここでは、コンテンツプランや現状を共有し、点と点を結ぶ方法を探します。私たちが『探検レベル』のコンテンツを作成している場合、他のブランドが作成しているコンテンツで、より深いレベルのものがないかを探ります。そういったコンテンツは、素早く顧客に紹介できますし、完全なカスタマージャーニーを形成してくれるのです」。

彼女たちは少しずつ進歩を遂げています。

たとえば、Dell Technologiesのサイバーセキュリティ会社Secureworksは、最近詳細なサイバー犯罪レポートを作成しました。そのほかに、Dell Technologiesのターゲットとする経営幹部レベルのオーディエンスに向けて、エグゼクティブサマリーサイバー犯罪における8つの役割に関するSlideShareなど、いくつかの短編コンテンツを作成しています。これにより、Dell Technologies Perspectivesでコンテンツのエコシステムが生まれ、元のSecureworksのレポートにもトラフィックが流れるようになりました。

「私たちはゆっくりと、しかし確実に実行しています」とMuck氏は言います。「当初は、これまでに作成したコンテンツをさかのぼって結び付けていました。現在は、こういったクロスプロモーションやクロスポリネーション(人が集まったときの化学反応)を計画立案プロセスに取り入れようとしています」。Dell Technologiesが制作するコンテンツの大部分はブランドに関連しないものですが、Muck氏と彼女のチームは、Dell EMCのCTOやDellの最高ダイバーシティ・インクルージョン責任者といったDell Technologiesのリーダーを紹介する機会を模索しています。

成功を測定する

Muck氏のチームには、成功を測定するために使用するKPIの層をいくつか持っています。Perspectivesの場合、サイトトラフィック、平均滞在時間、再訪セッション数といった標準的なエンゲージメント評価基準でコンテンツの共感度を測定しています。Trailblazersの場合は、ダウンロード数、登録者数、完了率だけでなく、検索ランキング、ソーシャルインプレッション、クリック率も測定しています。

チームはまた、定性的調査と定量的調査の両方を通じて、「ターゲットオーディエンスに対してソートリーダーシップの信頼性を築く」という当初の企業目標をどの程度達成しているか、そしてDell Technologiesがブランド認知度を獲得しているかどうかを追跡しています。

チームは、コンテンツマーケティングプログラムが強力な基盤になったところで、誰がコンテンツハブに来ているか、そしてどのアカウントから来たかを確認する機能を追加しました。

「私たちは、オーディエンスが掘り下げているコンテンツ、オーディエンスが飛んだページ、当社のサイトを越えた先のオーディエンスのジャーニーなど、サイト全体にまたがったカスタマージャーニーを分析し始めています」。

顧客中心のコミュニティを構築する

Dell Technologiesブランドのパブリッシングチームの目標のひとつは、情熱的で忠実なオーディエンスを獲得するために、メディア企業のようにフル稼働して魅力的なコンテンツを制作することです。「私たちは、オーディエンスの関心事に常に焦点を当てています」と彼女は話しました。「コンテンツマーケティング担当者の数は増え続けていますが、マインドシェア(ブランドの占有率)は縮小し続けています。ブランドが顧客中心のコンテンツを公開するようになれば、オーディエンスはブランドを気にしなくなります。その変化はコンテンツマーケティングにとって変革的なものになるでしょう」。

2018年のMuck氏の焦点は、PerspectivesとTrailblazersのオーディエンスを獲得し、これらをコミュニティへと変えることです。

「コミュニティの構築という精神で実施したエキサイティングなイニシアチブは、SXSWでライブのポッドキャストを録音したことでした」とMuck氏は語ります。「ポッドキャストの愛すべきホスト、Walter Isaacson氏をライブで見ようとファンが会場に詰めかけました。私たちは、今後もコミュニティが構築できる機会を模索していきます」。

【2018年版】ベストコンテンツマーケティングブランド50選について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

Heather EngはNewsCredのエグゼクティブエディターです。

元記事「Why Content Marketing Is Crucial to Dell Technologies’ Brand Strategy」は2018年5月14日にInsights.newscred.comに掲載されました。

この記事はNewsCred BlogのHeather Engが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。

また、日本におけるNewsCredパブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。

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