【2018年版】コンテンツマーケティングに変化をもたらす5つのトップトレンドと活用法

デジタルの世界は常に変化し続けていて、コンテンツマーケティングに大きな影響を与えています。 昨年、あるいは先月の有効な手段は、今日ではすでに有効ではなくなっているかもしれません。そのためコンテンツマーケターは常に戦略を最適化し、行く手に予測される大きな変化に備え続ける必要があります。

そこで本記事では、2018年コンテンツマーケターに大きな変化をもたらすと思われる5つのトレンドを紹介。どのようにすれば自身の施策に適用でき、最も重要であるビジネスの成果につなげられるのか? ーーその観点に留意しながら、ブランド事例とヒントを見ていきましょう。

ビッグロックコンテンツ

ビッグロックコンテンツとは、オーディエンスが否が応でも注目してしまうような大きなコンテンツのまとまりのことです。ビッグロックコンテンツは、ホワイトペーパー、短編動画、特集動画、インタラクティブなコンテンツであったり、美しくデザインされた本や雑誌であるかもしれません。

それは本当に大きい必要があります。結果として、多大な時間とリソース、そして予算が必要となります。しかし、それだけの価値があります。ビッグロックコンテンツは、しばしば非常に良いROIをもたらすのです。

ビッグロックコンテンツがどのようにして興味深いものとなるのかを視覚化するために、コンテンツ同士を結びつける中心になるトピックとして「ビッグロック」を考えてみましょう(このトピックは、ブランドとして自身が持っているものであるべきです)。そこから関連コンテンツを企画します。これにより、このトピックのまわりでオーディエンスが持つであろう、あらゆる質問に答えるコンテンツのエコシステムが生み出され、オーディエンスは他のリソースを見る必要がなくなるのです。

big rock content ecosystem.png

ビッグロックコンテンツをシェアする人々や、言及してくれるメディアを通して、ブランドの認知を高めることができます。フォーム入力が必要なコンテンツであれば、リードを増やすことにつながり、製品に結びついたコンテンツであれば、売上の増加につながり得るのです。

加えて、ビッグロックコンテンツは、コンテンツのマーケティングチームの効率化にもつながります。ビッグロックを、小さなコンテンツ群にブレイクダウンできるためです。e-Bookをブログ記事、インフォグラフィック、短編動画、GIFに作り変えることができます。

ブランド事例 : NIKE

3人のエリートマラソン選手が2時間のマラソン記録を破ろうとするシーンを収めたNIKEの「Breaking2」は、昨年のビックロックコンテンツとして、最も野心的な作品であったと言えるでしょう。制作には2年を要しましたが、結果は報われました。Twitterを通して1,310万人以上の人々からマラソンのライブストリームを見てもらえたからです。ナショナルジオグラフィックは、この試みについてのドキュメンタリーを制作し、150万ビューを獲得しました。ソーシャルメディアでは、Breaking2は2兆回のインプレッションを獲得しました。

ブランド事例 : KLM

ビッグロックコンテンツには、KLMの毎年のインタラクティブコンテンツ“Where to Fly”のようなものもあります。ここでは、50の旅行先が取り上げられています。毎年このコンテンツは、KLMの中でトップのパフォーマンスを示しており、50万以上の訪問、5分以上の平均エンゲージメント時間、KLMサイトの参照元サイトとして平均以上を誇ります。

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ビッグロックコンテンツを始めるには

まず、創造的にアイデアのブレインストーミングを行い、ブランドのコアとなる製品や、事業領域の専門性の中心にある主要なトピックを見つけましょう。

次に、ビッグロックキャンペーンのゴールとKPIを設定します。何をもって成功とするか、どのように成功するのかを理解するために、非常に重要なことです。以下のような課題について考えてみましょう。試みたいコンテンツはどのようなフォーマットなのか、コンテンツはどこに公開され、どのようにコンテンツへのトラフィックを作り出すのか。CTAを通して、読者が起こすべき次のベストのアクションはあるのか…。

最後に、実行に関して。タイムラインとプロジェクト計画を作成して、予算、活用できる内外のリソース、立ち上げ方、プロモーションの方法を盛り込みましょう。ビックロックコンテンツを、小さな、理解しやすいコンテンツ群に分解し、それらを通して、大きなコンテンツ体験を作り出すにはどうするかを考えることも忘れないでください。

動画コンテンツ

マーケターとして、顧客にリーチしたいのであれば、どれくらい動画を制作しなければならないかということをよく耳にします。

「誰もがやっているから」ということ以上の動機を持ちましょう、統計からはそのように読み取れます。これまで以上に人々は動画コンテンツを消費しています。YouTubeのようなプラットフォームで動画を検索して、日常で直面している問題の解決策を見つけています。これによってブランドのバリュープロポジションを理解してもらうためのコンテンツ作成をする、自然な機会が生じているといえるでしょう。

動画コンテンツは、ブランドアウェアネス、ブランドのセンチメント、ターゲットオーディエンスとのエンゲージメント、生み出したリード数など、キーとなるパフォーマンスを測る指標を促進することも証明されています。

ブランド事例 : Farmers Insurance

保険会社のFarmers Insuranceが制作した動画キャンペーン “Stranger Claims”を見てみましょう。Z世代とミレニアルに口コミで人気が広がったNetflixの”Stranger Things”を利用して同世代にブランドを紹介するというのは、非常に優れたやり方です。このキャンペーンでは、運転手や住宅所有者への保証を行うという点について、「ほとんどすべてを見たので、ほとんどの事例をカバーする方法を知っている」というFarmers Insuranceのブランド・プロミスが示されています。

ブランド事例 : Goldman Sachs

Goldman Sachsは社内向け動画シリーズ“Talks at GS”を大量のオンラインフォロワーを獲得するために再利用しました。

20〜30分のインタビューを中心に据えた動画シリーズを通して、Goldman Sachsは、先駆的な見識者〜UberのチーフブランドオフィサーBozoma Saint John氏のような〜からのビジネスのレッスンを公開しています。

TEDトークスタイルのこの動画ビデオ作品群は、YouTubeで3,000万回を超える再生回数を取得し、Goldman Sachsのビジネスの成長と、グローバルブランドとしての成功を促進するというゴールに寄与しています。

動画コンテンツ制作を開始するには

目的を持って始めましょう。なぜビデオ制作をするのか。ブランドのために動画で何をしたいのか。何によってオーディエンスは立ち止まり、動画に引き込まれるのか。この動画コンテンツを経験することによってオーディエンスが得るものは何なのか。ゴールやKPIを考えましょう。それによって動画シリーズに取り入れるべき創造的なアイデアや、動画の作成方法、プロモーション方法といったものが深まります。

これが初めての動画制作なら、クリエイティブ、機材、進行管理などについて、適切な内外のリソースが揃っているかを確認し、最終的に高品質のコンテンツになるように心がけましょう。

それから、制作の開始準備として、スケジュールと公開プランを作成しましょう

価値観にもとづくコンテンツ

消費者は、ブランドに社会的/政治的問題に対する立場を明確にすることを望みます。私たちは、そのような大きな変化のときを迎えています。

この変化は、タイムズ・アップからブラック・ライヴズ・マター、そしてMarch for Our Livesなど、多くの運動が進行中であるという、現在の風潮がひとつの原因だと考えられます。また、原因のひとつを、ミレニアム世代とZ世代に求めることもできます。彼らは政治を意識し、社会的に活発であり、支持しているブランドが自分たちと価値観を共有しているかどうかを知りたいのです。

しかし、若い世代だけではありません。Sprout Socialの最近の調査によると、ブランドが社会的/政治的問題について立場を明確にすることについて、消費者の3分の2が「やや重要」または「非常に重要」であると述べています。

立場を明確にすることは、うまく機能させれば、ブランドのセンチメント、顧客ロイヤルティの向上、売上の増加につながり得るのです。

ブランド事例 : Patagonia

Patagoniaを見てみましょう。トランプ大統領が2つの公有地への資金提供を削減した際に、このアウトドアカンパニーがどのように反応したかは記憶に新しいと思います。Patagoniaは、インタラクティブな映像を作成し、人々に行動を起こすことを求めるとともに、ソーシャルメディアで自身のスタンスについての声を上げました。トランプ大統領の行ったことに対しての認識の喚起が目的だったにも関わらず、Patagoniaは報道で大きく取り上げられ、その後、売上の急上昇につながりました。

ブランド事例 : Ben & Jerry’s

Ben & Jerry’sも、気候変動、議決権、LGBTの平等をはじめとする多くの社会問題について率直に話しているブランドのひとつです。ただの「アイスクリームのレシピや、新しいフレーバーについてのブログ」であるのは簡単なことだと思われますが、同社は普段のブログ記事への投稿を通して、社会問題のさまざまなトピックスについて正面から取り組んでいます。

We stand with the student leaders of #MarchForOurLives. We stand with all those who want to enact common sense gun reform. Read more and take action here at benjerry.com/MFOL (link in profile).

A post shared by Ben & Jerry’s (@benandjerrys) on Mar 16, 2018 at 8:19am PDT

私たちは#MarchForOurLivesの学生リーダーたちとともに立ち向かっています。私たちは、常識的な銃規制の制定を望むすべての人々と一緒に立ち向かいます。benjerry.com/MFOLをみて、行動を起こしましょう。

Ben & Jerry’sがソーシャルメディアで自身のスタンスを発信する一方、「アイスクリームを作っていれば良いじゃないか」と否定的な反応を示す人々もいます。しかしそれ以上に、企業の価値を信じているからBen & Jerry’sのアイスクリームを買うという、たくさんのロイヤルファンが存在しているのです。

価値観にもとづくコンテンツを作成する方法

「なぜあなたの企業が存在しているのか?」という点について、ブランドの精神と中心となるビジョンに結びつけられた価値を考えてみましょう。Patagoniaの場合、2カ所のナショナル・モニュメント指定保護地区の減少の可能性は、消費者の冒険的なアウトドアライフスタイルを可能にするという同社の公約に影響をもたらすものでした。

これらのブランド価値が、どのように公共の問題と結びつくのか。ターゲットオーディエンスが注視する問題の周辺の調査や考えと、どのように組み合わせられるのか。それらについて考えましょう。そして、コンテンツでの体験を通じて、ブランド価値を強調できる創造的な機会があるのかをブレインストーミングしてみましょう。

もちろん、この種のマーケティングにはリスクがつきものです。ある種の人々を失うかもしれませんが、オーディエンスにとって重要である価値を理解するための最善の努力をしたのであれば、失われた人々は、ターゲットオーディエンスではなかったのかもしれません。

ときには、あなたのメッセージがブランドから外れていると見なされたり、論争を呼び起こすものと見なされたりする可能性もあります。昨年のPepsiのキャンペーンは、ソーシャルメディア上で、あっという間にブラック・ライヴズ・マター運動の私物化と物議を醸しました。

マーケターにとっては警告的な話です。善意によるもので、最善の意図を持っていたとしても、それが適切に審査されていなかったり、深く考慮されていない場合には、コンテンツは歪んで受け取られてしまうかもしれないからです。

パーソナライゼーション

パーソナライゼーションとは、適切な人に、適切なタイミングで、適切なコンテンツを、その人向けにカスタマイズされたと感じられる形で提供することです。より複雑な最終段階では、ブランドは完全にパーソナライズされたコンテンツハブを試みますが、eメールに読者の名前を挿し込むようなシンプルな方法も非常に効果的です。

パーソナライゼーションは、まだ新しい概念ですが、ブランドはカスタマージャーニーに大きな影響を与えると見込んでいます。顧客が自分に関連するコンテンツを受け取れるため、ブランド側はエンゲージメントの増加を期待できます。さらにパーソナライゼーションによって、販売サイクルが短縮され、見込み客と売上が増加し得るのです。

ブランド事例 : USAA

ブランド側で模索している分野のひとつは、コンテンツハブのパーソナライゼーションです。USAAは最近、コンテンツハブであるUSAA Storiesをリニューアルし、パーソナライズされたトップページ、記事のサイドバー、およびオススメ記事を提供しています。

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ブランド事例 : IKEA

昨年IKEAは、IKEA Placeアプリをリリースして、多くの注目を集めました。AR(拡張現実)を利用して、家の中で家具がどのように見えるのかを、人々がきっちりと確認できるようにしました。これによって人々は、購入への大きなハードルを越えやすくなりました。というのは、自分の部屋で、IKEAの家具がどう見えて、フィットするのかを知ることができるからです。

購買を増やす可能性が高い、楽しく魅力的な体験を提供しているのです。

ブランド事例 : Fidelity

コンテンツパーソナライゼーションの最後の例は、Fidelity財務チェックです。対話型クイズは、節約の傾向からリタイア後の戦略までの一連の質問を投げかけます。ユーザーの入力した内容にもとづいて、クイズの最後にパーソナライズされたコンテンツエクスペリエンスを提供しています。

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このクイズは、FidelityとオーディエンスがWin-Winとなっています。同社はユーザーに関するデータを収集でき、オーディエンスは個人的な財務状況に密に関連するコンテンツを受け取ることができるからです。

パーソナライゼーションを開始するには

予算とリソースを考慮しましょう。機械学習とAIを使ってコンテンツパーソナライゼーションを試みることは、あなたのチームの大きな推進力となるでしょう。対話型クイズのような簡単なパーソナライズオプションによる、より簡単で、予算に負荷の少ないアプローチを採用することもできます。

プロモーション戦略を考えましょう。オーディエンスが望むものと、恣意のゴールとKPIを組み合わせて理解することにより、配信とプロモーションの注力施策が導き出せます。

最後に、パーソナライゼーションの取り組みを通じて得られるユーザーのインサイトを決めましょう。eメールアドレス、デモグラフィック、その他の入力事項など。大規模なマーケティング活動にフィードバックできるように、情報を保存する方法を決めましょう。

他のビジネス領域を変化させるコンテンツ

ここまで、コンテンツマーケティングが、いかにマーケティングの分野において効果的であるかを見てきました。したがって、他のビジネス領域にもコンテンツマーケティングを利用できると聞いても驚きはしません。

他の部門にとってもコンテンツはコアとなるものなので、これは理解できることでもあります。営業チームは、アウトリーチの見込み客にコンテンツを送信できます。また人々が、あなたの企業へ就職活動している場合、ウェブサイト上でコンテンツを探し、企業の文化を垣間見ることができます。

コンテンツマーケティングによる売上高は最も伸びており、リードの質も量も増え、収益も増やすことができます。また多くの人事部では、優れた人材を惹きつけるために、あるいは離職を予防するためにもコンテンツマーケティングを利用しています。

ブランド事例 : Bloomberg

Bloomberg雇用機会の均等多様な働き方を支援するダイバーシティ&インクルージョン部門では、コンテンツマーケティングを活用して多様な才能を引きつけ、参加型のカルチャーを構築しています。Bloomberg D&I blogには、雇用機会均等や、働き方の多様性についての記事が多数掲載されており、未来の従業員/現在の従業員を問わず、この問題について、Bloombergの立ち位置や企業の採用、雇用維持戦略にどのように反映されているのかを正確に知ることができます。

Bloomberg D&I.png

ブランド事例 : Adidas

Adidasも、人事目的のコンテンツマーケティングを実施しています。かつてAdidasは、投資家からジャーナリスト、従業員、従業員候補まで、すべてのターゲットオーディエンスにコンテンツマーケティングを実施しようとしていました。最近では戦略を簡素化し、企業カルチャーの構築、採用や雇用維持にフォーカスしています。AdidasのコンテンツハブGamePlan Aでは、アスリートのマインドで職場生活に取り組むことを語っています。とくにLinkedInチャネルの増加という点で、多くの成功が見られました。LinkedInチャネルの増加につながったということが最も重要です。

Adidas Gameplan A.png

他のビジネス領域を変化させるためにコンテンツを利用し始めるには

たしかに、これは5つのトレンドの中では、取り入れて実行するのが一番難しいかもしれません。というのは、複数部門の協力と多くの利害関係者の了承を必要とするからです。まず、コンテンツマーケティングを実施することが理にかなっているかどうかを考えることから始めましょう。人事部やセールスのような部門には、自然と馴染むと思います。また、社内の協力者、つまりコンテンツマーケティングに携わり、それが機能すると信じている人々を見つけ出しましょう。

コンテンツマーケティングは、他のビジネス領域にも非常に変革をもたらします。NewsCredでは、このことを年次サミットで細部にわたりディスカッションしました。今年の<ThinkContent New York>では、「ThinkContent:Transform Business」というテーマで、組織内で変革を起こし、ビジネスと収益に大きな影響を与えている最も影響力のあるシニアレベルのマーケターを迎えました。

Heather EngはNewsCredのエグゼクティブエディターです。Melissa HowardはNewsCredの財務サービスのコンテンツディレクターです。

元記事「How to Capitalize on the Top Content Marketing Trends of 2018」は2018年4月12日にInsights.newscred.comに掲載されたものです。

この記事はNewsCred BlogのHeather EngとMelissa Howardが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願いいたします。

また、日本におけるNewsCred パブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。

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コンテンツマーケティングの本場であるアメリカで、業界を牽引するリーディングカンパニーであるIndustry Dive。国内唯一の独占パートナーであるアマナがその集合知を活用し、成果へと繋がるコンテンツマーケティングをサポートします。
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