“ライオンらしさ”を大切に、Always Onのメディアをつくる。「Lidea」編集部に聞いた、ユーザーファーストなオウンドメディアのつくり方

さまざまな企業がオウンドメディアを持つようになり、その企業らしさやメディアとしての信頼性を明示することががますます重要になってきました。

その中でも、ライオン株式会社のオウンドメディア『Lidea(リディア)』は、新たな視点で暮らしに楽しさをもたらしてくれるコンテンツと、長年蓄積してきた生活に役立つ情報をわかりやすく伝えるコンテンツが、ライオンらしさとその信頼性を両立させています。

 

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今回は、Lideaの編集に携わる、コミュニケーションデザイン部 デジタルコミュニケーション開発室の青嵜洋子(あおさき・ようこ)さんに、メディアを立ち上げた経緯、コンテンツづくりで大切にしていること、コンテンツの見せ方の工夫など、オウンドメディアに携わる方に役立つヒントを伺いました。

 

課題解決型から、Always on の発信型メディアへ。立ち上げから5年でリニューアルをした理由

 

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Lideaの編集に携わる青嵜洋子さん

 

―― まずは、Lideaを立ち上げた経緯から教えていただけますでしょうか?

Lideaは、2014年に立ち上げたので今年で5年になります。当初は弊社がノウハウとして持っている歯磨きのコツや上手なお洗濯の仕方など、身近な生活のお困りごとを解決し、暮らしを快適にするコンテンツを中心に配信してきました。

現在のLideaにも登場していますが、「暮らしのマイスター」と呼ばれる社員が実験・調査結果などを元にコンテンツを作成しています。

 

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2019年6月にリニューアルを行ったのは、課題解決をしてマイナスをゼロにするコンテンツからさらに幅を広げ、ゼロをプラスに、暮らしが楽しくなるようなコンテンツをお届けしたいと思ったためです。もっと発信型のメディアにしよう、と。

課題解決コンテンツだけだと、困りごとができたときにだけ訪れるメディアになりますが、暮らしにプラスになるコンテンツを発信することで、いつでも訪れてもらえるAlways Onのメディアになります。そうすることで、ユーザーと私たちとの接点が増え、メディアとしてもブランドとしても価値を高めることができると考えています。

 

メディアに持たせる役割は、ユーザーとの接点づくり

 

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―― Always Onのメディアにすることでユーザーとの接点増加を期待しているとのことですが、そこにはどのような意図があるのでしょうか。

私たちがLideaを運用する目的は、コンテンツでお客様に寄り添い、エンゲージメントを創出すること、そしてファーストパーティーデーターを蓄積し事業に活かしていくことです。

メディア運用を通して生活者のインサイトやカスタマージャーニーを捉え、商品開発やマーケティングに活用できると考えています。すでに、晴れた休日にはカーペットやカーテンなどの大きなものを洗いたくなるというインサイトを掴んでいて、Lideaのレコメンドとして「カーテンの洗い方」のコンテンツをおススメするといった工夫をしています。

ゆくゆくは、蓄積したデータを分析し、店頭の商品配置や商品開発にも活かしていきたいですね。また、弊社の公式LINEアカウントではLideaの記事公開のお知らせや、タイムラインへの配信なども行っていますので、社内での認知拡大にもつながったようです。LINEスタンプの影響もあって、たくさんのお友達登録をしてもらえたため、社員の友達や家族にもLideaを認知していただいたり、LINE経由でLideaのコンテンツを読んでもらえたり、思わぬ効果を得ることができました。

 

真面目な話を、わかりやすく、おもしろく。読みたくなるコンテンツをつくるには ーー

 

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―― どの記事もポップで読みやすく「おもしろい!」と思いながら読ませていただきました。企画の切り口で、意識していることはありますか?

今は、真面目なテーマをいかに読みやすくおもしろいコンテンツにできるかを意識して企画を立てています。

Lideaでは、コアターゲットに「毎日を少しでも楽しく、丁寧な暮らしをしたい人」を据えています。そしてそのターゲットの人々が、日々のあらゆる習慣を、もっとさりげなく、楽しく、前向きなものへ“ReDesign(リ・デザイン)してもらうことを目標にしているのです。

そのため、コンテンツの種類は3つに分かれます。

1) サイエンス: コラボ実験を読みやすく伝える

2) ライフハック: 暮らしに役立つアイデアを伝える

3) フィロソフィー: LIONの理念を伝える

これらのコンテンツを発信することで、困りごとがあるとき以外にもメディアを訪問していただきたいと思っています。

―― 個性的なライターさんも多いですね。どのような基準でライター探しやご依頼をしているのですか?

そうですね、家事にまつわる記事が多いので、お子さんがいたり日頃からよく家事をしていたりするライターさんにお願いすることが多いかもしれません。みなさん企画をしっかりと理解したうえで独自の視点を提案くださるので、私としても勉強になっています。

この「高齢者疑似体験でお風呂掃除|負担のかかるこすり洗いは『ルックプラス バスタブクレンジング』で解決!」の記事は、イラストレーターの原あいみさんが書いてくださいました。

 

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編集会議で、「こすらなくても浴槽を洗えるこの商品の良さは、体が不自由な70代のお母さんのほうが体感できるのではないか」とご提案くださり、実際に原さんのお母さまにもお試しいただきました。

また、ライターの5歳さんにお願いしたハロウィンの衣装をリメイクでつくるという記事では、実際に息子さんのために衣装を作っていただき、より実践的な記事に仕上がりました。

 

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コンテンツの方向性を拡大してから、メディアへの訪問者層も変わり、以前より若い層のユーザー、そして若い男性ユーザーが増えています。

 

パートナー企業やライターと“ライオンらしいコンテンツ”をつくるコツ

 

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―― このようなこだわりのコンテンツは、どのような体制で制作されているのでしょうか?

Lideaには、代理店さん、パートナー企業さん、そして多くのライターさんが携わっています。コンテンツ制作に加えて前述したデータ分析専門のチームも動いているので、総勢数十名のチーム体制になっています。Lideaはライオンのブランドサイトとも連携を取っていて、ブランドの新商品発売に連動してコンテンツ制作をすることもありますので、社内では部所間のつながりも大切にしています。

―― 大きなチームになればなるほど、コンテンツの軸やメディアとしてのコンセプトの統一感をはかることが難しく感じます。チームみんなに伝えている、大切にしたいことはありますか?

大切にしていることは主に2つです。

1つ目は、ライオンらしさを忘れないこと。弊社はまわりから真面目な社風と言われていて、おもしろさにつながりにくい印象があります。しかし逆を言えば、そこが私たちの良さでもあるので、ユーモアの中にも真面目さを無くさないようにしています。

2つ目は、記事の信頼性を担保することです。ユーザーが記事を読んで安心して行動できるように、信頼性や専門性はきちんと担保しようと思っています。責任が持てないコンテンツは、その確認ができるまで公開しません。信頼性の高い記事を作ることはSEO対策にもなるので、特に気を付けていますね。

「めんどくさい食器洗いが超楽しくなる?『スペアキャパシティ』と『ながら家事』の関係とは」というコンテンツは、もともと弊社と青山学院大学との「スペアキャパシティ」をテーマにしたメディア発表資料を噛み砕いて伝えるコンテンツでした。

 

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ただ、スペアキャパシティとは何かを紹介しても難しくて伝わらないため、ライターさんに協力してもらい、ルーティーン作業をしているときにどんなことができるかを体験してもらったのです。

 

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体験後は、実際に青山学院大学の教授へインタビューもしていただきました。

 

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このように、真面目なことをおもしろく伝えることを大事にしつつ、専門性の高さも維持しています。世の中には多くの記事がありますので、似たようなものは読まれません。ですので、専門家へのインタビューなど独自性を欠かさないことも重要なポイントです。

 

見せ方の工夫で、来訪ユーザー層も回遊の仕方も変わる

 

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―― ページ上部にタグがついていたり、スマホ画面には「もっと読む」ボタンが導入されていたり、随所に見せ方の工夫が見受けられます。

コンテンツの洪水が起きている今、ユーザーは3秒で記事を判断し、読み進めるかどうかを決めると言われています。波に埋もれず、コンテンツを読んでもらうために、Lideaでは「もっと読む」ボタンを設置しました。まずはディスクリプションだけを表示させ、興味があれば続きを読み、読まれなかったとしても他のレコメンド記事が目に入る設計になっています。

 

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PCだと横にレコメンド記事が並びますが、スマホは画面が縦長なので、表示方法を工夫しました。タグから記事を読めるようにしたのは比較的最近で、季節やニーズに合わせてタグを変えています。

 

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Lideaには、お掃除の仕方などのHOW TOを伝えるお困りごと解決コンテンツと、プレスリリースや研究結果などをおもしろく伝える発信型コンテンツの2種類の記事がありますが、前者は検索流入、後者はTwitterやLINEが主な流入経路です。

お困りごと解決コンテンツから訪問したユーザーは積極的に情報を得ようとしますので、タグや目次をつけて探しやすいようにしました。

 

もっと、そのユーザーが求めている情報を選んで届けたい

―― リニューアルから半年ほど経ちましたが、社内での反応はいかがでしょうか。

先ほどお話ししたLINEでの効果や、Lideaを営業ツールとして活用できたので、もっとこういう記事を出してほしいなどの要望が増えてきました。メディア運用はすぐに結果が出るものではありませんし大変なときもありますが、社内外にとって役立つものですので、地道に続けていくべきだと思っています。

―― 現サイトで改善したいことや、今後取り組みたいことなどはありますか?

今後は情報をパーソナライズ化してお届けしたいですね。ペットを飼っている人にはペットの情報、主婦の方にはお昼時に夕飯レシピの情報というように、弊社の持つさまざまなチャネルから、必要なときに必要な情報を届けられるメディアでありたいと思っています。それによって、Lideaをいいメディアだと思ってもらい、商品開発や広報活動などに活かすことができるよう、成長させていきたいです。

 

これまでも、そしてこれからもずっと大事にしたいこと

 

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―― 最後に、Lideaを運用していくうえで、これからも大切にしたいことを教えてください。

どのブランドもそうだと思いますが、何よりも大事なのは「ユーザーファースト」であることです。今でも企業目線だけのコンテンツを作って後悔するときがありますが、社内にいるとブランド目線が当たり前になってしまうので、グループインタビューやアンケートを実施して、ユーザーが今、どんなことを考えているのか、しっかりと耳を傾けるようにしています。

 

まとめ

オウンドメディアの運用は、すぐに結果が出るものではありません。だからこそ、日々の積み重ねをどのようにするかで大きな差が出るものだと、青嵜さんのお話を伺って感じました。今回のインタビューを、みなさんのオウンドメディア運用に役立てていただけましたら幸いです。

 

  • Interview & Text : 森野 日菜子
  • Photos : 飯田 悟(INFOTO

 

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