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2030へ向けて、SDGsへの取組と ライセンスドコンテンツの活用術

▼登壇者

協和キリン 株式会社|コーポレートコミュニケーション 部長
吉田 聡子さま

株式会社 日本ビジネス出版|環境ビジネス編集長/学校法人先端教育機構 SDGs総研 主任研究員
白田 範史さま

 

本レポートでは、協和キリン株式会社コーポレートコミュニケーション部長の吉田聡子氏、そして株式会社日本ビジネス出版にて環境ビジネス編集長/学校法人先端教育機構SDGs総研主任研究員、白田範史氏のセッションをお届けします。SDGsをテーマとしたオウンドメディアによるコミュニケーション戦略の取り組みについて講演していただきました。ぜひご精読ください。

 

◆ ◆ ◆

 

SDGsとは

白田:吉田さんのお話を伺う前に、SDGsについて簡単に説明します。

SDGsとは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略です。2015年9月の国連サミットにて全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」がもとになっており、2030年までの15年間で17個のゴールを達成することを目標としています。4年目となった現在、国連や政府主導ではなくて、民間企業こそ主体的に取り組む価値があるというメッセージを、国連や政府、経団連などが一生懸命発信している状況です。

市場規模という視点でSDGsを捉えたときに、かなり魅力的な市場であると経産省やデロイトトーマツなどがリサーチしています。ゴールごとに異なるものの、その市場規模は70~800兆円と算出されているのです。つまり、SDGsは民間企業が取り組むにあたって、非常に有力なビジネス市場というわけです。

 

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協和キリンのSDGsへの取り組みとその背景

 

白田:なぜ、SDGsをオウンドメディアのテーマに選んだのでしょうか?

吉田:一般の人が持つSDGsのイメージが、弊社に対するイメージと非常に似ていると思ったからです。なんとなくいいことをしている感じだけど、実態はよく知らないっていう。

また、SDGsの3番目のゴール「世界の人々に豊かさと健康を」は、弊社の経営理念である「ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献する」とほとんど同じ。SDGsに関するあらゆる情報を発信して世間の理解を深めることで、会社として社会貢献できるのではないか。それがテーマに選んだ理由の1つです。

もう1つが、ミレニアル世代の認知度を高めること。弊社は、とくにミレニアル世代からの認知度が低いという課題がありました。ミレニアル世代は他の世代よりもSDGsに対して関心が高いとされていますので、SDGsをテーマにすれば、ピンポイントで彼らに弊社の存在をアピールできるのではないかと考えたのです。

 

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協和キリン 株式会社|コーポレートコミュニケーション 部長

吉田 聡子さま

 

SDGsを活用したコミュニケーション戦略

白田:それが、「MIRAI PORT」というオウンドメディアですね。「MIRAI PORT」の役割や目的を教えていただけますか?

 

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MIRAI PORT  健康で豊かな世界をつくる、みんなのサロン

 

吉田:主目的は、「協和キリンのSDGsに関する活動が ステークホルダーに正しく認知され、 理解・共感、さらには社会的信頼を得る」と設定しています。

白田:マーケティングコンテンツとして、直接的な販売につなげることは目的にしていないのでしょうか?

吉田:していません。そもそも日本では、医療用医薬品は宣伝等が禁止されていますので、「MIRAI PORT」では製品名を出すことができませんし、しません。そういった意味でも、ピュアにSDGsというものを伝えていけると思っています。

白田:SDGsには17個のゴールがありますが、「MIRAI PORT」ではどのようなテーマを中心に発信しているのでしょうか。

 

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吉田:中心に取り上げているのは環境です。また、社業として医療用、医薬品を扱っている以上、今後はもっと命に関するテーマを出していきたいと思っています。それ以外では、エネルギー、ジェンダーなど、「これもSDGsに含まれるんだ」と気づきになるテーマを選ぶようにしています。いずれも、大事にしているのはわかりやすく伝えることです。難しい話だな、遠い話だなと、読者の関心を遠ざけないように身近な話題から入るようにしています。

白田:コアターゲットは、やはりミレニアル世代ですか?

吉田:そうですね。理由は2つあって、ひとつは、ミレニアル世代の拡散力が強いから。数々の調査結果から、自分たちが良いと思ったことを大きく拡げる力があることがわかっていますし。もう1つは、自分たちの未来に直接影響があることなので、他の世代よりも関心があるはずだと思っています。

 

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ライセンスドコンテンツの活用とその効果

白田:ライセンスドコンテンツと通常のコンテンツの使い分けは、どのようにされていますか?

吉田:「MIRAI PORT」は、海外のSDGsニュース、国内のSDGsニュース、協和キリンのSDGsの取り組みの3種のコンテンツで構成されています。海外のSDGsニュースはNewsCredのライセンスドコンテンツ、国内のSDGsニュースは国内の専門媒体の記事から選び、協和キリンのSDGsの取り組みだけが独自で制作するオリジナルコンテンツです。

 

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潜在層に興味を持ってもらう、世界のSDGsニュース。少し興味が出てきた顕在層に向けて身近な話題を提供する、国内のSDGsニュース。そのもう一歩先、私どもに関心を持っていただいたファン層の方々に対して打ち出すのが、オリジナルコンテンツです。私どもはコンテンツ制作については門外漢ですが、たとえわずかな本数であっても、これはぜひ伝えたいと思うトピックを取り入れて提供しています。

 

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白田:2019年6月に開設ということで、まだ始まったばかりですが、社内外での反応はいかがですか?

吉田:まだ記事を更新することで精一杯ですが、読んでいただいた方からは、私たちの部署・部門の取り組みも載せてもらえませんか? といった声をいただきます。

 

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株式会社 日本ビジネス出版|環境ビジネス編集長/学校法人先端教育機構 SDGs総研 主任研究員

白田 範史さま

 

白田:コーポレートコミュニケーション部が運営しているオウンドメディアで、こういった活動はSDGsに資するとか、社会に対していいインパクトが与えられる可能性が十分ある、と書かれるのは、会社としてお墨付きを与えている部分もあって、社員の方たちにも良い効果が期待できそうですね。

吉田:協和キリンで働く社員一人ひとりが、自分の仕事は社会に対して何らかの形で関わっていて、貢献していると知ることは、非常に大事だと思っています。もちろん給料のために働くのが第一義ですが、社会貢献というもう一歩先の働く意義を提示することは、働き続けるモチベーションにもつながるのではないかと。

白田:一方で、人が動いて、予算を投下して、コンテンツを作っているので、社内からは「どんな成果を期待できるのか」といったコンフリクトも出てきますよね?

吉田:ROIはどうなっているの? といった質問は当然のごとく受けますね。現時点ではまだ、ページビューを上げる施策を練っている段階ですが、今後は定性的なことも含めて、今までリーチできなかったところに対して、どうリーチしたのか、何がアウトカムなのか、成果を数字で示していかねばならないと思っています。

 

MIRAI PORTと協和キリンの未来像

白田:今後の「MIRAI PORT」の展開について、お聞かせください。

吉田:この取り組みは、マーケティング活動の一部ではありません。その点は会社にもはっきりと伝えて、コミュニケーションを考えていきたいです。SDGsをみなさんにも考えていただく場に育てていくという意味では、コンテンツの拡充は必須ですし、もっと新しい企画を入れたい。

たとえば、弊社の社員が関わる対談記事を増やして、組織をリードしていく人を育てる場にもできればいいなと思っていますし、社内外を問わず材をつなげるハブのような場になればいいとも思っています。まだまだ双方向コミュニケーションが可能な場にはなっていませんが、将来的にはそういう場にしたいですね。

 

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この取り組みから生まれてくるものが次の時代の新しい価値になると考えているので、積極的にチャレンジしたい。それがインダイレクトだったとしても、社内で積み上げ、自社事業に対する価値を生み出していきたいと思っています。

 

●Text :内藤 貴志
●Photos : 劉 怡嘉

 

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