Gettyが発表したビジュアルトレンド 〜コンテンツマーケティングに役立つ美の視点

sakkmesterke

20年以上も前から商業写真やエディトリアル(報道用)写真の第一線で活躍しているGetty Imagesは、ほぼ毎年、驚くほど正確で洞察に満ちた世界のビジュアルトレンドを予測しています。

2018年、Gettyが発表した3つのトレンドは非常に示唆に富むものでした。そのトレンドは、ビジュアル業界の展望を総括したものであり、美術館の展示からマーケティングキャンペーンに至るまで、あらゆる種類の画像・デザイン・美学に取り入れられています。

「当社が予測するブランドや企業が重視すべき2018年のビジュアルトレンドは、『変革のビジョン』『新たなヒーローのビジョン』『勢いの衰えない創造性』です。これらは幾分、楽観的な性格を見せています」とGettyのクリエイティブコンテンツ担当シニアバイスプレジデントであるAndy Saunders氏は言います。「これは、従来、主流メディアで起用されなかった多くの人々にとって重要な方向性であり、文化的に豊かで面白い世界を作り上げるための小さな一歩に過ぎません。小さな一歩を積み重ねれば、全体像を描くことができるはずです」。

この記事では、世界を変えるかもしれない2018年のビジュアルトレンドを紹介します。

第二次ルネッサンス

Gettyチームは昨年、画像制作者やクリエイティブの間で美術史の影響力が高まり、音楽分野・ファッション分野・その他の分野で作品に古典美術を取り入れる人が増えていることに気付きました。その一例に挙がるのが、絵画のように見える写真です。シニアアートディレクターLauren Catten氏が言うには、これらのアートは、「写真撮影がかつてないほど簡単になった時代に、職人技と芸術のアイデアを再び呼び起こす」と同時に、実験的かつ伝統的な方法を用いて作品の質を高めているそうです。

Christie’sもこの手法をすでに取り入れています。この有名なオークションハウスは、昨年の秋、レオナルド・ダ・ヴィンチの「サルバトール・ムンディ」のプロモーションを行うために、クリエイティブエージェンシーのDroga 5と手を結びました(この絵は最終的に史上最高値の4億5,000万ドルで落札されました)。プロモーションでは、絵画だけを見せるのではなく、この傑作を見た人々のリアクションに焦点を当て、人々のポートレートを芸術的かつドラマチックに表現しました。これら絵画的な画像を集めたInstagramアカウント@thelastdavinciまで設け、プロフィール欄には「レオナルド・ダ・ヴィンチの『サルバトール・ムンディ』の目から見た人々のポートレート」と記載されています。

第二次ルネッサンスのトレンドにはダイバーシティも含み、「ステレオタイプを覆し、より前向きで文化的に豊かなナラティブを書き直すために」作品を生み出している新世代のカラーアーティストも注目されています。

その好例が、設立されたばかりのイギリスの会社、Red Redです。彼らの「アフリカからインスパイアを受け、ロンドン風にリミックスされた」ビーガンシチューは、Whole Foods Marketで販売されています。そのシチューは、鮮やかなアフリカのテキスタイルと様式化されたポートレートを特徴としてキャンペーンで宣伝されました。

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キャンペーンの構図は静物とクリムトの絵画に、現代の遊び心を加えたようなパターンやポージングが調和されたものでした。さらに、このプロジェクトに参加しているクリエイティブの大半はアフリカ人やディアスポラ(パレスチナ以外の地に移り住んだユダヤ人)であり、目を見張るようなデザインキャンペーンによって、「今までにない」ブランドを構築しようと協力しています。

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考慮すべきこと: 過去12カ月間で、「Z世代」をGettyで検索する人は344%も増加しました。「ポスト・ミレニアル世代は最も民族的に多様な世代であり、主流メディアで非白人的な表現を積極的に採用することが必要とされています」とCattan氏は書いています。そして、第二次ルネッサンスを掲げるならば、「これらのビジュアルがもたらすインパクトは、直感的にわかるものが新たにパッケージ化されるよう、『ありふれたものと予想外のものを組み合わせる』」ことに注目しましょう。

概念的リアリズム

2番目のトレンドである「概念的リアリズム」は、現実的なビジュアルと概念的なアイデアの相互作用に目を向け、奇妙な要素や予想外な日常の瞬間に注目したものです。Gettyのシニアアートディレクター・Amy Lehfeldt氏によると、「奇妙な瞬間が神の啓示や予期せぬ人生の一コマのように思える」といった組み合わせだそうです。この美学は、ソーシャルメディアやユーザー生成型コンテンツの台頭に起因しています。

「自分が読んだり、見たり、聞いたりするものへの信頼が低下している現代の世界では、たとえアイデアが本物でなくても、人々は本物のように見える画像を求めているのです」とLehfelft氏は記しています。わたしたち全員がクリエイターになれる権利を持っているため、「不完全なDIYのような画像」がもっとも誠実で、真正なもののように感じられるのです。

庭園・果樹園・緑豊かな風景と、果物や野菜を粉砕したり、絞ったり、食べたりする様子を交互に映したSuja Juiceのキャンペーンは、このトレンドに当てはまる代表例です。フェンネルの茎を鼻に擦り付けたり、ケールの束にキスをしたり、空手チョップできゅうりを折ったり、見ればすぐわかるものや場所が切り貼りされた奇妙な映像が交互に映し出されています。移り変わりの速いペース、エキサイティングなビジュアル、熱狂的なナレーターによって、楽しく記憶に残る広告を生み出し、ジュースに入っているのは画面で見る新鮮なオーガニック農産物だけだと感じさせました。

スウェーデンで展開されたIKEAの「Where life happens(人生のさまざまな1ページ)」キャンペーンは、文字通りの方法でコンセプトに命を吹き込みました。世界中のメディアで大きく報道されているベビーベッド用の印刷広告は、尿をかけると妊娠しているかわかる妊娠検査薬付きです。妊娠検査が陽性だった場合、割引価格が表示される仕組みになっています(ただし、イケアファミリープログラムに加入していれば、誰でも割引を受けることができます)。

「私たちは、『Where life happens(人生のさまざまな1ページ)』というコンセプトを軸に、どの広告でもできる限り関連性と創造性が高いものにするよう努めています。今回はそのコンセプトを印刷広告に取り入れる機会を得ることができました」とÅkestam HolstのクリエイティブチーフであるMagnus Jakobsson氏はAdweekに語っています。この大胆な広告は世界規模としても適したキャンペーンであり、尚且つ際立ったアイデアのため、従来の印刷広告のパラメータになっています。掲載にあたり、「それは、単に値段を表示している普通のベビーベッドの広告以上の価値があるのか」「雑誌の枠を超えて広がり、拡散されるだろうか」とJakobsson氏は自問自答したそうです。

その答えは「確実に拡散される」でした。

考慮すべきこと: 「ユニークなコンセプト」と「ラグジュアリーな抽象化」をGettyで検索する人は、それぞれ329%と186%増加しています。マーケティングの観点では、オーディエンスは新しくて今までとは違った体験を求めていますが、それだけではありません。「消費者とつながるための重要な要素は、達成可能性と共感性です」とLehfeldt氏は書いています。「真正なライフスタイルのストーリーテリングが主な手段となり、クリエイターはこれらのテーマを今まで考え付かなかった方法で形にするにはどうすべきかを探求しています」。あなたも参加してみませんか?

多面的な男らしさ

世界が女性の権利や表現について目覚ましく進化し続けている中で、「ブランドは、男性を杓子定規な形で表現する方法に意義を唱えるべくエネルギーを集中させています」とGetty Imagesのクリエイティブインサイト&プランニング担当シニアマネージャー・Jacqueline Bourke氏とアート担当グローバル責任者のGuy Merrill氏は書いています。2018年のGettyの最後のトレンドは「多面的な男らしさ」です。これは、ネガティブな固定観念を覆し、有能で現実味のある男性の新しいイメージを構築することを目的としています。

2017年に実施されたGilletteの父の日キャンペーン、「Go Ask Dad(スマホじゃなくてパパに聞こう)」は、まさにこの神話を取り入れたものです。これは、世界中のお父さんたちが、親子間コミュニケーションの妨げになっている(スマホの)テクノロジーを使って、10代の息子たちとコミュニケーションを取るというキャンペーンでした。息子たちは、思春期や大人に関する質問をアプリに投げかけ、お父さんは息子に気付かれないように音声を変えて回答。このキャンペーンは親子の絆を再確認させ、「父親は子どものためなら何だってできる」という前向きなイメージを作り上げました。これは、おむつを変えることも、子どもの世話をすることも、家事をすることも、家庭を共同で運営することもできないような、失敗ばかりの間抜けな父親像を描写する広告とはかけ離れたものです。

願わくば、こうした表現は過去の遺物にしたいものです。「従来の表面的な男らしさの概念は、すでに居場所を失くし、急速に関連性を失いつつあります」とBourke氏とMerrill氏は書いています。「ブランドはそうした状況に対応し、複雑で、優しく、共感的な方法で男らしさを表現し始めています」。

OKCupidのキャンペーンは、まさにこの感情を捉えました。「Dating Deserves Better(あなたにふさわしい出会い系アプリ)」キャンペーンは、「とにかくヤりたい」を意味するスラング「DTF(Down to fuck)」の意味を「Down to fly the red eye(夜行便に乗りたいな)」や「Down to feel fabulous(最高の気分になりたいな)といった他の言葉に変換し、大胆で思いがけないビジュアルが特徴です。これらの画像は、ジェンダーの役割を排除した新鮮な視点を出会い系アプリにもたらし、「規範」をはるかに超える男性のアイデンティティの範囲を示しています。

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考慮すべきこと: 「急速に変化しているソーシャルメディアとビジュアルの文化で『男らしさ』が転換期を迎えています。その点からも、広告分野のクリエイティブは、かつての退屈で破壊的な男性の固定観念から脱却しなくてはなりません」。「LGBTQ」をGettyで検索する人は809%も増加し、「メンタルヘルス・アウェアネス」を検索する人も258%増加しています。このような知見を作品にどう取り入れるべきでしょうか? また、男性や女性の表現に関して、オーディエンスを正しい方向に導く新しいビジュアルランゲージの構築に、どう役立てるべきでしょうか?

Anastasia DyakovskayaはNewsCredの寄稿者です。

元記事「Top Visual Trends for 2018 + What They Mean For Content Marketing」は2018年1月19日にInsights.newscred.comに掲載されました。

この記事はNewsCred BlogのAnastasia Dyakovskayaが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。

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